カメラを持たずに横浜へ

6月10日は朝から雷雨。取材の予定は無かったけど、午後には雨も上がったので横浜港に向かった。今日は取材じゃないんだから、カメラなんて持たずに行こう。着いてみると、その日の見学会は中止になっていた。あの雷雨じゃしかたないだろう。とは言え横浜は今回の寄港地では最北の港。ここにはけっこう遠くから見学に訪れる人も多いという。北は北海道から、南は名古屋のあたりまで。 ご存じの通り〈ホクレア〉関連の日程って変わりやすいので、ぜひとも余裕をもったプランで来場されることをお勧めします。

で、横浜港に到着したのが夕方4時頃。桟橋の上では、内田さんがテレビ新広島(!)の取材を受けていた。それじゃあ、あの取材が終わってから、みんなでビールでも飲みに行こう。
ちょうど同じ頃、桟橋の近くでは〈カヴァの儀式〉が行われていた。「最初は30分と言われていたんだけど、なかなか終わらないんですね」とハワイ州観光局の人が憔悴しきっていた。「あの儀式は全員がスピーチをするから、短くても2時間はかかりますよ」

その日はレセプションパーティがあったんだけど、僕は仕事で来ているわけでもないので遠慮した。で、ダミーさんと、もうひとりの女性スタッフと近所でビールを飲んだ後、ちょいと夜の風に吹かれようかと桟橋に向かった。こうして遠くから夜の〈ホクレア〉を眺めるのは、宇和島以来のクセになってしまったのだ。そこで30分ほどぼんやりしていたら、内田さんとマカさんが現れた。パーティは終わったようだ。

となると例によって長い話となり、やがて〈ホクレア〉の留守番をして行け、という話になる。困ったぞ、今日は寝袋も無いし、けっこう寒い格好で来ちゃったし。すると内田さんが「寝袋とか長袖のシャツ貸してやるよ」ということになり、わかりました。今宵のワッチは不肖ワタクシと、ダミーさんで担当させていただきます、という話に落ち着いた。

〈ホクレア〉のバンクは予想を遥かに超えて、寝心地が良かった。あっという間に眠りに落ち、目を覚ましたのは朝、6時30分頃。これじゃあワッチにはならなかったな。バンクをたたく雨の音。ファスナーを開けて外に出てみる。寒い。バンクにいると、この寒さからも逃れることができる。

朝8時30分、荒木タクジさんがひとりで現れた。「〈ホクレア〉の中って、寝心地良かったよ」「そうですよね、港に停泊している時はね……」なるほどなぁ、航海中は絶えず揺れているから、あんなにゆっくり眠ってなんていられないのだ。
今日は見学会が開催される。早くも来場者が列を作り始めた。急いで寝床を片づけよう。見学者を案内する時の荒木さんは生き生きとしている。自分の乗ってきたカヌーがいかなる乗り物なのか、誇らしく説明する姿はカッコいいと思う。

あまり思い出したくはないことだけど、今日は月曜日なのだ。仕事に行かなくてはいけないのだ。2〜3人のクルーにさよならを言う。「今日も来るんでしょ?」「今日はダメだと思う。水曜日の夜あたりだったら、また留守番に来たいな。今度こそしっかり見張ってるから」
ホントはマカさんに礼を言わなくてはいけないんだけど、すでに〈ホクレア〉の上で忙しく働いている。声をかけるのはやめておこう。
空には夏の日差しが戻ってきた。静かに明けた横浜港の朝は、もう10時30分を迎えていた。
by west2723 | 2007-06-12 06:20 | ホクレア


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