カヌーのある暮らし

ニック加藤さんのトークショーにでかけた。そうです、この5月、ニックさんがハワイから日本に来ていたのだ。ピース・フレンドシップというグループの招きで神戸、和歌山、大阪を回り、そして最後に湘南・藤沢へ。去年の夏、ぷかり桟橋に集まった多くの顔ぶれとも再開できた。おかげで〈ホクレア〉の回りに漂う独特の「ゆったりした」空気が蘇り、1年ぶりに故郷に帰ったような、シアワセな気分に戻ることができた。

ミクロネシア〜日本航海の間、ニックさんは主にサタワル島、沖縄、そして〈ホクレア〉よりも少し先回りして周防大島で撮影を続けていた。お祭り騒ぎをかわすように動くニックさんには相変わらず「シブイぜ」と思ったもんだったけど、その後には今日見ることのできたような、美しい写真が残るというわけ。いやほんと、この一連の写真は、もっと多くのココロある人たちに見てもらいたい。

サタワル島では〈ホクレア〉の到着前後、合わせて3週間ほどを過ごしたという。電気や水道こそ無いけれど、長老から子どもたちまでの年齢構成がバランス良く、ほぼ自給自足が成立しているという平和な環境。その中で3週間を過ごしたというだけで、あのニックさんですらハワイに戻って半年くらいは「社会復帰」できなかったという。みんな同じような経験をしていたのだ。それを聞いて何となく安心すると同時に、みんなの「社会復帰後」が楽しみになってくるのだった。

タヒチを始めとする仏領ポリネシア、ハワイ諸島、ミクロネシア、そして沖縄のカヌーが淡々と映し出されるスライドショーにはココロが洗われた。それぞれの写真に対してニックさんが書いたシンプルな解説を、女声のナレーションが繋ぐ。音楽はウクレレ奏者であるニックさんの息子さん。ココロのこもった構成は、藤沢在住のアーティスト、ハーフ・ムーンの琢磨仁さん。スライドショーのタイトルは『カヌーのある暮らし』というものだった。「生活」ではなくて「暮らし」なのだ。ニックさん独特の、シンプルでありながら確信に満ちた言葉選びは健在だ。

訪れる島々の民家の軒先には、まるでママチャリのようにアウトリガーカヌーが置かれている。
「アウトリガーカヌーを見ると、ああ、この島の人たちも、みんな海とうまく調和しながら生きているんだなぁ、と思えてホッとするんですよ」
とニックさん。この人は〈ホクレア〉という1艇のカヌーだけではなくて、もっと広く海そのものを思いながら旅を続けて来たんだなぁ、と思った。
お陰さまで、店を離れる時にはとてもサワヤカな気分。行きには鬱陶しく思えた雨だったけど、まるでヒロの街にでもいるような気分で、楽しく濡れて帰ることができました。
by west2723 | 2008-05-25 04:24 | 陸での話


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