Good-Bye August!

夏休みを入れることなく8月を過ごしたのは、社会人になって初めてのことだった。8月の1日に始まったロケは8月の後半に校了を迎え、そして今日ぜんぶ終わった。梅雨明けと共に始まった8月、ホントに長かった。何たって31日もあるんだからな。今、僕の東向きの部屋からは月齢17日の月がぽっかり浮かんでおり、その下には東京海洋大学越中島キャンパスの全容が見える。あの白いゲストハウスにナイノアが泊まっていたのは1カ月前のことだ。

今月何があったっけ? なんて思い出す時に、仕事ばかりしていると何も思い出せない。そんなに記憶に残らない仕事ばかりしているのかよ、などと不安にもなるけれど、〈ホクレア〉が来ていた頃のインパクトに較べると平坦なもんだからね。これを平和と呼ぶのであれば、歓迎しなくてはいけない。そしてそろそろ、このブログの行く末にも決着をつけなくてはいけない。

部屋の電気を消してぼんやり月を眺めていたら、〈ホクレア〉に魅せられた、とある報道カメラマンの言葉を思い出した。その人は某民放キー局にいたものの、ちょうど〈ホクレア〉が横浜に到着する頃に人事異動となり、横浜支局に配属となったらしい。僕が伴走艇で〈ホクレア〉と共に横浜港に向かっていた時、彼の会社のヘリが追いかけてきた。そして〈ぷかり桟橋〉に着いた時、彼はすでに桟橋にカメラを据え、大勢の報道陣の真ん中で本気になっていた。声をかけようかと思ったけど、仕事中だから遠慮した。と言うよりも、撮影している時の狙撃兵のような威厳に、声をかけられなかったというのが正直なところ。

「辞令を受けた時、もう会社なんて辞めちゃおうかと思っていたんですよ。でもね、横浜港に到着してから何日目かの夜、〈ぷかり桟橋〉に〈ホクレア〉を見に行ったんですよ。たしかクルーは誰もいませんでした。で、ひとりで柵の手前から〈ホクレア〉を眺めているうちに、オレは何て小さいことを考えているんだろうと思えてきてね……。たぶん〈ホクレア〉を知らなかったら、僕は今頃会社を辞めていたんだろうと思うんですよねぇ……」

サラリーマン経験の無い人にとって、これは取るに足らない話かもしれない。しかしサラリーマン経験のある人には、このポジティブな決意がどれほど大きなものかが理解してもらえると思う。ささやかだけど大きいこと。今の自分を肯定することから〈ホクレア〉の旅は始まる。だから今は、できることを続けて行けばいいんだと思う。頑張ろうぜぃ!
ということで少しずつ、今後の話を始めたいと思います。もうしばらくおつき合いくださいね。ところで、あのカメラマン、今でも元気でやってるかな? けっこう強面だったから、火事場騒ぎの報道の現場でも困らないとは思うんだけど。
by west2723 | 2007-08-31 21:31 | 陸での話


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