〈カマヘレ〉からの帰還!

昨日の夕方、茅ヶ崎のYASUから電話が入った。「今、どこなのよ?」「茅ヶ崎ですよ〜、さっき帰ってきましたよ〜」ということだったので、今日の昼、ちょいと会いに行った。まずは元気そうで何よりだけど、やはり〈カマヘレ〉での25日間の航海はタダゴトではなかったようだ。

「こうして座って両手で茶碗を持ってメシ食えるだけで幸せですよ」
つまり〈カマヘレ〉は激しく揺れるわけです。船の上では常にどこかにつかまっていないと立っていられないし移動もできない。ご飯を食べる間も、必ずどこかにつかまっていなくてはならない。しかも耳元からはエンジン音、寝室だって常に濡れている。そんな状態で3週間も船に閉じこめられているなんて、想像するだけで船酔いしてしまう。

日本を出てしばらくは前線を抜けられず、25日間で最も揺れたと言う。日本の海はキビシイのだ。航海に慣れていないクルーは、まずここでやられてしまう。しかもそこから先、逃げ場のない船の上、自転車並みのスピードでハワイまで3週間を過ごさなくてはならないんだから気が遠くなる。
「さすがにミッドウェイのあたりで『降ろしてくれ〜っ!』と思いましたけどね」
胃の痛みに耐え、筋肉もすっかり削げ落ち……いやはや、タイヘンな航海だったのだ。

3週間の間、すれ違う船は数えるほどだったという孤独な旅。毎日届くはずの気象情報は3日に1度くらいしか入ってこない。不気味な濃霧に包まれる夜もあったし、難破船には遭遇するし、まあ、ろくなことはない。しかし満月の夜、月明かりが作るでっかい虹を見たという。朝日夕日は言うに及ばず、陸上では見ることのない風景が連続する。
「ハワイには北から入るんですね。ノースショアを見て、東海岸をダイアモンドヘッドの方へ回って、いやもう、船で入るハワイってのはいいもんですよ」

何よりも冷たいビールとコーラが飲みたかった。陸に上がっても1週間ほどは陸酔いが抜けず、トイレに座っているだけでよろけることもあった。
「出迎えは極めてシンプルでしたけど、日本人が〈カマヘレ〉を届けたという事実が残ればそれでいいんです」
到着後のハワイでいろいろアイデアはあったけど、とにかくのんびりしようということで、リハビリがわりにホノルルで波乗りをして過ごした。

そして帰国翌日、YASUは早くも茅ヶ崎でのサーフィンスクールで働いている。お疲れさまでした。宇和島ヨットクラブの人たちもお疲れさまでした。〈カマヘレ〉を返しに行くという思いつきはカッコ良いけど、行けるカラダがないと耐えることなんてできない。気持ちだけではどうにもならない。生きてハワイに辿り着けるかどうかも怪しい。やっぱ、それをやっちゃうあいつらは凄いよ。
by west2723 | 2007-07-26 19:47 | ホクレア


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