ありがとう〈ホクレア号〉〜その1

最近、ほとんどテレビを観なくなった。送られてくる映像が、なぜかアタマに入ってこなくなったのだ。〈ホクレア〉から伝わってくる情報ばかりがリアルで、メディアから伝わってくる情報はほとんどココロに届かない。ニュースさえも観ようと思わない。おそらく自分の生活に関わる情報も多かったことだろうけど、そんなこと知らなくても、きっとどうにかなると思えるようになる。

スピーチは苦手と語る荒木タクジさんが、横浜到着後の記者会見でひとつだけ面白いことを言った。
「メディアはなぜ暗いニュースばかり流したがるのか? 明るいニュースを流す責任も、メディアにはあるのではないか?」
たしかに、世の中には暗いニュースばかりであるはずはない。こうして〈ホクレア〉が日本航海を成功させたように、明るいニュースだってあるのだ。しかし、メディアというものはなぜか暗いニュースばかりをトップに据えたがる。そして、暗い世論ができあがる。その中で育つ子どもたちは、世の中とは暗く憎しみに満ちたものだと思うようになる。

「沖縄が見えた時、そこには水があって緑があって人の生活があるはずだと思った。そして、そんな当たり前のことが、かけがえのないものに思えた」
そんな内野かなこさんのコメントは、なぜニュースにならないのだろうか? 
「木を植えよう」とマカさんは言った。「もっと早く日本人の知恵を学んでおけば、ハワイは間違った道に踏み込まなかったに違いない」とナイノアは言った。 
そんな〈ホクレア〉から聞こえてきた言葉の数々が、今の僕にはとてもリアルだ。〈ホクレア〉こそが追うに値する存在だった。大メディアが総出で偽装牛肉を販売した社長を何日間も追いつめたところで、未来が明るいものになるとはとても思えないのだ。
by west2723 | 2007-07-01 22:25 | ホクレア


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