海に浮かぶ観音さま

曳航される〈ホクレア〉を見た人から「普通は曳航する船の方がカッコ良く見えるものなのに、〈ホクレア〉の場合はまったく逆だな」という感想を聞いた。「何というかこう、観音さまがスーッと海の上を移動している感じ」なんだそうだ。

ということで、粛々とスケジュールをこなす九州レグですが、さすが九州、その盛り上がり方は尋常ではないようで、この感じだけは行ってみないとわからないと誰もが口を揃える。とにかく歓迎する人のほとんどが、「お客さんを迎える」というよりも「仲間が帰ってきた」という感覚のようで、クルーの人たちと地元の人たちは、完全に融合してしまっているらしい。めでたいことです。

時には地元の元気なオヤジさんがクルーを自宅に招いての宴会になっているとのこと。特に出航が延期になったようなエキストラな夜は盛り上がるようで、長崎出航の前夜は、ついにその宴会も徹夜になったという。この雰囲気は、チャド・ババヤンの性格に負うところも大きいような気もするけど、仮に、ナイノアだったとしても……やはり同じだろうな。日本という国、なかなかやるもんだね!

今や停泊中の〈ホクレア〉も「みんな来なさい」状態で、混沌としていながらも不思議な秩序が生まれていて、警備も必要なく、誰もが自由に〈ホクレア〉を見学できるという。そんな空気の中、さっきは熊本のChasin' Dragonさんが現れ、今日の夜、急遽「公式の」歓迎ライブが開かれることになった。などなど、目の前で次々と新たな「公式行事」が発生するというんだからいい感じだ。

これは、今や〈ホクレア〉の代名詞ともなりつつある"スケジュール変更"の、とてもポジティブなパターンだ。こうなった理由は、いろいろな人たちの思惑を越えて、日本航海そのものが「意志」を持ち始めたからに違いない。この「意志」とは他でもない、人間の意志を越えた〈ホクレア〉の意志なのだ。もはやLet it beなのだ。大丈夫、こうなったら、何もかもがきっとうまく回り始める。
by west2723 | 2007-05-12 16:08 | ホクレア


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