日本航海への不安、その1

日本に到着してからが大変だと思う理由のひとつに、今回の航海スケジュールがある。4月1日に沖縄到着、そして横浜にゴールした後〈ホクレア〉を解体し、船に積み込んで出航する予定日が5月の下旬。2ヶ月近くゆっくりできるじゃないか、と思うかもしれないけど、ココロある航海の専門家の多くは「その日程じゃ間に合わない」と口を揃える。〈ホクレア〉というカヌーは動力を持たない船としては最大級に大きく、かつ重いものらしい。それを潮流の速い有明海の干潟の上や関門海峡、さらには瀬戸内海、大型タンカーの行き交う豊後水道や東京湾などなどを無事に予定通り曳航できる船なんてあるんだろうか、という話なのだ。たとえば関門海峡を通過する大型船は1日に650隻、浦賀水道にいたっては2500隻と聞いて、ハワイのスタッフたちは今さらながら絶句しているという。

現在のところ、曳航される区間の速度は9ノットで試算され、スケジュールが組まれているらしい。9ノットで進むには曳航されるカヌーもある程度滑走状態でなくてはならないけれど、あの海域でそのような危険は冒せない。季節風の名残の西風を受ける可能性も高い、双胴カヌーが横風から受ける風圧は強烈、しかもあの季節に多く発生する南岸低気圧が重なったらどうする、現状では4〜5ノットでの航行が精一杯、グラスファイバーと木材だけで作られたカヌーはレーダーで認識されないので、夜間の航行はきわめて危険……、というような話があちこちで噴出し始めている。

だからと言って、止めようと言う話ではもちろん無い。こういう議論を起こす人々は、みんな今回の航海に責任を感じるから言っているのだ。みんな今回の航海に関われることを名誉に思い、何とかしようと頑張っている。どちらかというと「文学的に」語られ続けてきた〈ホクレア〉の日本航海を、ようやく「理科系の」知識が現実に置き換え、計画をリセットしているということなのだろう。このプロセスは必須で極めて重要で、しかも急を要する。だから決して、「あいつらウルサイからスタッフから外せ」なんて話にしてはいけない。安全のためなんだから、見直せる計画は、早いうちに見直した方がいいに決まっているのだ。
by west2723 | 2006-12-17 12:45 | ホクレア


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