頑張れよ、大手媒体社勤務の名もないサラリーマン!

c0090571_9253576.jpgナイノア・トンプソンの東京での記者会見に集まったのは50社、約80人と聞いていたけど、初めて〈ホクレア〉的な世界に接するメディア関係者にとって、ナイノアの話は思いのほか刺激的だったようで、あの場に集まっていた人たちが、それぞれの職場で本気になり始めている。

たとえば、たまたま時間が空いていたからやってきた雑誌編集者とか、独行取材で送り込まれてきたキー局の社員カメラマンとか、 日頃はあまり発言の機会を与えられていない大新聞社文化部の記者とか、そんな、特集や番組内容に対する「決定には直接関わらない」人たちが、ナイノアの話に動かされ、「あのハワイの〈ホクレア〉ってヤツ、何とか取材させてもらえませんかねぇ」と、社のエラい人たちへの説得に動き始めているらしい。あの記者会見(と言うよりも記者発表?)にはボディブローのような効き目があったようなのだ。



彼らが〈ホクレア〉関連の資料を探そうにも、今のところ簡単にまとめられた資料があの雑誌しかないわけで、「この本を作ったヤツに聞けば何かわかるかもしれない」と、僕のところに初めての人から連絡が入るようになってきた。いいですよ、個人情報以外のことだったら何でも教えます。ただしその見返りに、2冊目出版に向け、再び1から根回ししている僕にも力を貸してくださいね、というわけです。今、この段階で〈ホクレア的〉なるものに惹かれる人に、悪い人はいないようなので。

通常、話題を仕掛ける場合には、広告代理店が間に入ってパブリシティをやったり、有名人を起用したり、という定石がこの世界にはある。先日も某クルマのモデルチェンジにジャニーズ系のタレントを呼んだところ、膨大な量のパブリシティとなった。これがオトナ向けの商品やサービスであれば、売れっ子の建築家やら料理人やら文化人が高額のギャラのもとに応援のコメントを述べ、そこに大勢のメディアが集まり話題作りが完成する。メディアにとって話題なんて、すべて計算されたものでしかなくなっている。

そんな中、〈ホクレア〉やナイノア・トンプソンなんていう、今どきの大手メディアで働くほとんど誰もが期待しない記者発表が行われた。「誰か行かなくてはならないようだから、とりあえずデジカメ持って行ってみるか」なんて記者もいたはずだ。しかし、そこで見たものは途方もない魅力に溢れていた。とんでもない人物を目撃し、とんでもない話を聞いてしまったのだ。あの後、メディアの末端で働く社員の何人かは、このとんでもない話を早く、どうにか世間に知らせなきゃイカンという思いで社に帰ったのだろう。しかし、今どきこんな、どこにも「計算」のない話題、どうやって会議の席に乗せればいいんだろう、なんてことも思いながら。

彼らは今ごろ、管理職たちの「だぁかぁらぁ……そのホクレアっていったい何なの?」という質問に対して根気強く答え続けているに違いない。
「で、それを紹介することが、ウチにとってどんなメリットがあるわけ? どこかのタイアップでも取れるわけ?」
なんてことを、管理職たちは携帯のメールでも眺めながら退屈そうに聞いてくるわけだ。しかし、
「メリットじゃねえんだよ、社としての「キモチ」を聞いてんだよ」なんて、20年ぶりに喉元まで出かかった青臭い言葉を抑えつつ、〈ホクレア熱〉に冒されるがままに、口で言ってもわからない管理職に向けて、1円にもならない企画書を書く毎日を送ることになるのだ。

今、何人かのメディア関係者が、僕が2年前に通ったと同じ道に分け入っている。僕も今なお、同じことをやっている。みんな頑張れよ。誰が最後まで頑張れるか、それによっても〈ホクレア〉日本航海の性格は変わってくる。だったら横でつながって、ささやかな「世論」とやらを作ってやろうじゃないの。頑張りましょう。(上の写真、撮影はキノシタさん@湘南アウトリガーカヌークラブ)
by west2723 | 2006-10-13 23:02 | 陸での話


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