かわいそうな冥王星

76年前にみつかっちゃって以来、勝手に惑星にされたり、突然その資格を剥奪されたり、冥王星にとってはずいぶん失礼な話だったと思うけど、とにかく太陽系の惑星は8つということになってしまいました。惑星とは呼ばれていない天体のうち、太陽系には冥王星よりも大きなものが3つあるそうで、「まあ、惑星が12個にまで増えてしまうと有り難みも半減してしまうので、この場はひとつ冥王星さんには泣いてもらって」という、まるで企業の役員人事のような話に落ち着いたもようです。

冥王星って、名前がカッコよかった。太陽系の最果ての王。もしも太陽系の外宇宙に旅に出ることがあれば、最後まで見送ってくれる惑星というイメージがあった。そう、さっき出てきた港の灯台が、いつまでも見送ってくれるようにね。そして向かう先は漆黒の闇。品格の上では充分に惑星だったんじゃないかと思う。ついでに言っておくと、西洋占星術上、僕はサソリ座に属していて、サソリ座の守護星は冥王星らしい。おいおい、だったらこれから先、いったい誰が護ってくれるんだよ!

天王星、海王星、そして冥王星。命名者は大正時代の天文学者なんだろうけど、その頃の日本の学者は外来語をかなりカッコよく訳してくれていたと思う。ベースボールを野球と訳したのは正岡子規らしいけど、このような名訳をいくつも行った名もない学者が、明治大正時代の日本にはたくさんいたんだろうと思う。今でも中国には外来語をまるで昔からあったような自国語に翻訳する文化があるよね、コンピュータを電脳と訳すような。あの高度な言語感覚を、日本でも取り戻したいと思う。

一方、日本の電脳回りには、初期化、とか、変換、とか、検索、とか、不格好な翻訳が多いんだよなぁ……。もっとも、最近いちばん醜悪なのは、何度も言うけど「sustainability」に対する「持続可能性」という訳。そのまんまやん! 「持続可能」と言われて、あなたは意味がイメージできますか? こんな言葉を何のためらいもなく使うような人を、僕は信用したくありません。

それにひき換え「冥王星」のカッコいいこと。冥土の王様(という意味ではないのかもしれないけど)。そこから先は漆黒の闇、死の世界。だからこそ、太陽系の暖かさも伝わってくるんだと思う。もちろん、惑星界をリストラされても太陽系から消えてなくなるわけじゃないんだから、これからもよろしくね、冥王星。
by west2723 | 2006-08-25 05:29 | 陸での話


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