〈ホクレア〉を率いる伝統航海術師、ナイノア・トンプソンを最初に海に連れ出したのは、カワノ・ヨシオという日系移民の牛乳配達員だった。
毎朝トンプソン家に牛乳を届けていたカワノ氏は、多忙だった両親の代わりに、たびたびナイノア少年を海に連れ出し、船の漕ぎ方や魚釣りを始めとする、海での過ごし方、海との接し方を教えた。さらに少年は、カワノ氏の生活を眺めながら、自然とうまく調和する日系人たちのライフスタイルにも強い感銘を受けて行ったと言う。 「風通しのいい日本家屋、自然の色彩に逆らわない調度品のひとつひとつ、枕のカタチひとつにさえも、僕はいつも驚いていた。そんなヨシの家に遊びに行くことが、僕にとっての大きな楽しみになっていたし、その後の僕の人生に大きな影響を与えたことは間違いないと思う」 いよいよ〈ホクレア〉が日本にやって来ることになり、当然のようにナイノアはヨシの故郷を訪ねたいと思うようになる。しかし困ったことに、カワノ氏のご先祖の出身地が誰にもわからなかったのだ。どうやら山口県の出身らしいということまではわかっていたものの、広い山口県のどこなのか、それが〈ホクレア〉を巡る最大の謎となっていた。周防大島にあるハワイ移民資料館の名簿の中にも、その名前は無い。 しかし、ハワイに多くの日系移民を輩出した周防大島の人たちが、島の誇りにかけて調査を開始。膨大な資料の中から、牛乳配達員、カワノ・ヨシオの名前を発見したのは、〈ホクレア〉がすでにハワイを出港した後だった。その出身地は、周防大島の南に接する小さい島、沖家室島だという。 誰がここに来て、ナイノアにはどのように届けたのかはわからないけど、届けた人はキチンと松本さんに報告しておかないと、それは〈ホクレア〉の恥になると思うよ。
by west2723
| 2010-06-01 12:53
| 海での話
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