海の道、入門編

一日一便のフェリーのためにこの施設。これがもしも霞ヶ関の公益法人によって運営されていたら、きっと事業仕分けの対象になるだろう。そのくらいもったいない施設なんだけど、今回はそういう話ではない。何より僕のココロを動かしたのは、こんな都心から、自宅からクルマで5分ほどの近所から、船で旅に出ることができる、ということだった。



ご存じの通り、僕の知り合いには航海機器をいっさい持たずに、まるでイカダのようなカヌーでハワイから日本までやって来る人たちがいる。西表島から東京湾までシーカヤックで帰ってきた人もいる。サンフランシスコから東京湾まで、ヨットで短時間太平洋横断世界記録を樹立した人がいる。パドルボードで伊豆大島から葉山まで漕ぎきった人がいる。彼らの偉業に較べれば「フェリーで東京から四国に行くことが、いったい何なの?」というくらいチンケなことに違いない。

がしかし一方で、彼らは一様に「海から陸を見る視点が重要」だと語る。その考えには深く同意できるから、今でもこうして付き合いは続いている。であるならば、都市生活にどっぷり浸った中から一歩踏み出すには、都心から出港するフェリーでもいいじゃないか、と思う。まずは安全確実に、東京湾から陸地を眺めてみる第一歩が大切なのだ。フェリーが物足りないのであれば、ほとんどの人にとって「海から陸を見る」ことは冒険を伴うことになる。それによってハードルが高くなるようでは、僕たちは永遠に陸地に閉じこめられてしまうのだ。

などと、理屈を並べると長くなるけど、気が向けば近所からいつでも船旅に出ることができる、ということが何よりうれしかったのだ。ちょうど今年は新緑の季節に瀬戸内海エリアを回ろうと思っていたので、ちょうどよかった。片道自動車込みで3万円弱。往復だと高めかもしれないけど、どちらかを週末の高速道路「上限1000円」を使えば、かなり自由な旅ができる。自転車でフェリーに乗り込む、なんてことも考えたけど、慣れない土地で自転車を漕ぎ出すのは何かとストレスが溜まる、荷物も限定されてしまう、などなどの理由から、クルマに自転車を積んで、いつもの6輪旅で行くことにした。

なお、どのフェリーにもたいてい個室から雑魚寝に至るさまざまな船室があるのでご希望に応じて選んでください。僕がかつて大洗や仙台から北海道に行っていた頃は、カプセルホテルのような一等船室を選んでいたけれど、オフシーズンは雑魚寝の二等船室は空いている。僕が乗った船の二等船室には10名ほどの乗客しかいないとのことだったので、今回は二等を選んだ。用意しておいてよかったものは、寝袋とノイズキャンセリングのヘッドフォン。さらに、常に持ち歩いているマグカップとコーヒーのドリップパックは、ここでも活躍してくれました。

こんなに乗客が少ないと人件費も削らざるを得ないのだろう。レストランの乗員はいないので、食事はすべてレトルト食品をレンジで温める方式。なので、それがイヤな人は二食分くらい用意しておいた方がいいかもしれない。
by west2723 | 2010-05-31 13:10 | 陸での話


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