今日は日曜日だというのにロケがあり、横浜市の郊外に向かった。このあたりの街道筋にはまだまだ里の景色が残っていて、けっこうのどかな気分で撮影が進んだ。住宅街の中、あぜ道の名残と思われる細く曲がりくねった道を抜けると農家に突き当たり、庭先の梅が満開だったりする。東風吹かば……ってことですね、どこからともなく梅の香りが漂ってくる。
突然暖かくなりました。春になると普通は華やいだ気分になるものなんだろうけど、僕の場合はどうしてもセンチメンタルになってしまうことが多い。転校とか卒業とか、雪解けとか散る花とか……。 春は出会いのシーズンでもあるけれど、別れのシーズンでもある。僕は子どもの頃に転校を繰り返していたせいで、春になると今でも別れたままになっている小学校の同級生の顔を思い出したりしている。特に、いつもイジメていたヤツの顔は忘れられないもんで、もしも向こうから偶然に歩いて来てくれたら、「あん時はホントに悪かった」と謝っておきたいと思う。歩いて来てくれないかな。 そんな小学校時代の最後の時期を過ごした場所でのロケだったので、終わった後はすぐにスタッフと別れ、かつて住んでいた家や、商店街や、学校の周りを歩いてみた。行ってみるとすでに家は駐車場に姿を変え、田んぼは埋め立てられ、農家の庭はマンションに変わってしまっている。しかし道筋だけは変わらないもんだな。そして、いずれの道も今歩いてみると、とても狭いことに驚く。オレはこんなに狭い街で暮らしていたのか、と思う。小学校の校庭も狭く、あれほど遠かった駅までの道のりは、オトナとなった足ではほんの数分に過ぎなかった。 毎年毎年、同じ季節を迎え、同じような一年を繰り返しているようだけど、気づいてみるとまったく違う場所にたどり着いている。真っすぐ漕いでいたつもりでも、潮に流されてまったく違う島へ上陸しちゃった、そんな感じ。とは言え過ぎた時間を取り戻すことなんてできないんだよ、なあんて思ったところで、そう言えばそんな歌があったなぁ、と思い出した。『The Circle Game』ですね。 詩・曲・歌はジョニ・ミッチェル。バフィ・セントメリーによるカバーは映画『いちご白書』のテーマとしてもヒットしました。 ジョニ・ミッチェルの歌には、なぜか「色彩」を感じる。たとえアコースティックギターによるシンプルな弾き語りであっても、スケッチブックを開くような感覚で聴くことができる。なぜだろう?
by west2723
| 2009-02-15 20:00
| 陸での話
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